第5回感性認知ビジネス実践部会を開催
日 時:2007年 5月14日
16:00~18:00
出席者:部会員 92名中 20名
■1.副部会長開会の挨拶 田中愼一郎 副部会長
【1】会計報告(会計監査 柴山氏)
平成18年度の会計報告。
【2】年次大会での企画セッション
(小阪部会長)
工学院大学で8月1日、2日、3日に年次大会が開かれる。部会に企画セッションの依頼がきている。 1時間から1時間半の枠内で4件から5件の研究発表を行う。
現実の現場で実際になされている感性価値創造のケーススタディを発表して いく。 自薦他薦を問わず、4人の発表者が必要。
部会員にインフォメーションして発表者を募る。 希望者が出なかった場合、幹事会のほうから、指名する。(拒否権あり)
今年の学会のテーマは「感性情報による価値創造」
ⅰ 顧客の感性に働きかけたことにより、商品やサービスが売れた
ⅱ 顧客の感性に働きかけたことにより、顧客とのリレーションシップが深まった。その結果どう変わったか。
この2つのいずれかの事例を持った人を募る。
大会や学会の活動に積極的に参加してください。 大会に出店する依頼があるかもしれない。
大会の機会に、部会として、意識の高い商人であると同時に学術研究にも関心の高いビジネスパーソンが集まっており、ビジネス現場を持っているからこそ実証学的に研究が可能なユニークな部会であることをアピールしたい。
【3】国際会議について (小阪部会長)
10月10日から12日まで札幌で開かれる。日本感性工学会主催の、初の国際会議。「感性工学と感情研究の国際会議」
主催:日本感性工学会
共催:韓国感性科学会 Design&Emotion学会
【4】消費者感性分析調査の実施について(小阪部会長)
小阪が本年より本格的に研究と実学的体系化を行う「消費者感性分析」の活動に、ぜひ参画いただきたい。
「消費者感性分析」は、過去、小阪がシンクタンクの研究員らと共に何年も継続的に行っていた、最新の分析手法。
【概要説明】
消費者の潜在的な消費感性を把握することができる。たとえば、これからどういう商品やサービスを提供すればよいのか、お店でどういう空間を作れば心地よいとお客が感じるかといったことが、事前に把握できる感性分析手法がある。
基本的には、特殊な方法で設計されたアンケートと多変量解析というデータ解析手法を活用して、消費者の感性の現状とゆくえを探るもの。(以下、分析手法の概要説明がなされた)
【5】年間部会開催スケジュールについて(田中副部会長)
■2.感性工学春季大会からの気づき (小阪部会長より)
筑波大学で行われた感性工学春季大会について
テーマ:感性⇔脳機能 感性工学と脳科学の融合
春季大会の実行委員長・久野節二教授(筑波大学大学院感性認知脳科学専攻)
気づきを得た発表のなかから幾つかを紹介・気づきを解説
1.筑波大学人間総合科
「芸術鑑賞と創造の脳活動]というテーマの発表
ファンクショナルMRIを使って印象派(ルノアール)とシュールレアリズム(ダリ)の絵を見たときの脳の動きを見る。
絵を好きかどうかということと気持ちがいい、悪いという情動とは関係ないらしい。わけの分らないものをみると、脳は一所懸命意味を考える。
2.ペンのデザイン
デザイン系の学生と非デザイン系の学生を集めて、ファンクションMRIを使って、脳の使っている部分を調べる。
既存のペンの絵を見ながら、自分独自のペンのデザインを考え、描いてもらい脳の動きを見る。
その結果、プロから見て独創性のあるデザインとそうでもないデザインをした人の脳の動きには違いが見られた。
デザインが下手な人は後頭部、上手な人は右脳前頭前野がデザイン中に活性化していることがわかった。
後頭部はマネ・改良に発揮される部位、右脳前頭前野は創造性を発揮する部位。
-この違いが現れた原因(あくまでも推論)-たぶんエクササイズの量の違いであろう。エクササイズの量によって、ある日突然、脳の使う部分が変化し、できるようになる。
つまり、基礎の反復をどれだけやり続けてきたかということ。
このことはデザインに限らず、スポーツや商売その他にもいえるのではないか。
■3.感性社会学
黒子先生(首都大学東京)のお話から工業社会から情報社会、知識社会に変わった。それに伴い、貨幣経済における資産が変わってきている。
工業社会での資産は"お金"。お金を持っている人が強いというのは、工業社会でのこと。しかし現在の情報社会においては"お金"は資産という地位を失ってきている。
実は情報化社会における資産は"注目"である。例えば「あれってすごいらしいね」という"注目"作用の中に貨幣形態を見出すことができる。
知識や記憶などの情報流通のエコノミーは貨幣と親和性を持っている。心理的な作用、"注目"ということにも大きな貨幣的な意味がある。
今後、感性エコノミーにおいては、"注目"の資産の蓄積が将来のリターン、利殖に繋がっていくのではないか。
最近多くみられる「いかに価値ある情報を高く売る」かではなく、「価値ある情報をいかに無料で大量にばら撒く」かも注目の資産の蓄積には有効であろう。
そうした"注目"のエコノミーにおいて、決定的なファクターとは、"関係性"をいかに築けるかということが重要になる。
この関係性のマネジメントこそ情報社会の鍵を握ることになるであろう。
■4.閉会
議事録作成者 大村 文江