第8回感性認知ビジネス実践部会を開催

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第8回感性認知ビジネス実践部会を開催

日本感性工学会
第8回感性認知ビジネス実践部会 議事録

日 時:2008年 2月 4日
16:00~18:00
場 所:新宿マインズタワー
15階セミナールーム2
出席者:部会員79名中17名

■1.部会長からのお話  小阪裕司部会長

 現状の感性工学の流れと今年の部会の方向性


 【1】感性工学会秋の臨時総会で役員の交代あり 会長 工学院大学椎塚教授


 【2】感性工学会春季大会 宮城大学 3月7日8日に開催


 【3】感性工学会そのものをいかに盛り上げていくかが課題となっている。


 【4】感性工学はあくまでも実学であるというスタンス。理事会でもコンセンサスがとれている。

    また、研究のための研究ではなく、どれだけ実社会で役立つかの中心地になっていく必要があるという総意はできている。


 【5】昨年来、経済産業省が「感性価値創造イニシアチブ」という国家経済政策を発表するなどの動きがあり、そのほか、文部科学省でもこうした新しい時代の社会に貢献できる人材の育成がテーマになっている。 

 
○田中副部会長

経産省が考えている感性価値創造のイメージはプロダクツ的なのかどうか?


◎小阪部会長
ホームページでダウンロードできる公開資料はプロダクトよりではあるが、実際にプランをまとめている人たちは視野が広いと思われる。国家政策として打ち出せているので全省のコンセンサスのもとに発表したということである。
 

○田中副部会長
幹事会の中で討議したことであるが、部会の今後のあり方については、ビジネスに役立つ取り組みを実践していきながら、その気づきなどをディスカッションする中で色んなことが起こってくるのではないだろうかと思われる。
 

◎小阪部会長
   日経レストランでの連載 感性工学で商売繁盛空間認識でレストランを論じたり、BGMが感性にどのような影響を与えるかといった話を掲載している。

    私たちは、専門的な知識をもって学術研究する必要性はあまりないのではないだろうか。

    先に紹介したような試みをダイナミックにやっていくのが良い。例えば、ひとつのテーマを出して、それぞれが実験して、実際のビジネス現場でのデータを集めていく。それは我々しかできないことである。

経験則で言われていることに、一体どんなメカニズムがあるかを解明するところに感性工学の面白さがある。

たとえば我々は、3回以上来店したお客様は流出率が低いといえる経験則を持っているが、なぜ3回以上来店すると流出率が下がるのか、そのメカニズムはどうなのかを検証する。私たちは経験則から仮説を引き出し、先生方は感性工学の観点から仮説を引き出すので、双方が協力すると相乗効果が得られる。


 
◎小阪部会長
  さらに部会に期待すること石井さんが発表した防水スプレーのケースひと月ごとに3段階の実験をした。防水スプレーだけ⇒商品説明⇒動機付けメッセージという実験をした。これは普通やらない。普通は情報デザインができていないから売れないという仮説がないからやらないし、POPが書ける人は最初からやるという意味で非常に貴重なデータとなった。

言い換えれば、2ヶ月の売上を犠牲にしてデータを取ったということである。

ネガティブ実験を行うことで比較対象ができ、貴重なデータが取れるということである。でも、こうすれば売上が上がるということがわかっているのに、あえて売上が上がらない実験はしない。こうした研究ができるのがこの部会ではないだろうか。

そして、どう深めていくかという段階では、先生方のご協力を得ていくようにすれば良
いのではなかろうか。
 
○田中副部会長
   BGMの実験で正解は出ないだろうが、いい意味でその中での気づきが生まれるのではなかろうか。

◎小阪部会長
   感性工学は、答えを見つけようとしているのではない。BGMをかければパフォーマンスがあがるとかの解はない。プロセスそのものを見ている新しい時代の学問。プロセスを研究することで我々がプロセスそのものを扱えるようになるということが大事なのだということ。

我々が取り組んだデータを持ち寄ることだけで発表できる。謎は深まり、さらにテーマがどんどん出てくる。気づきが増えていく。 

研究テーマに取り組めば取り組むほど、気づきが増えて、ビジネスのヒントが得られていく。それらを他の部会員にフィードバックしていく。

ウェブマスターやメーリングリストで知らせていく。参加者が増えてくれば、さらに手分けして実験ができていく。皆が仮説を立てて実験し、そのデータを持ち寄ることでダイナミックな動きにつながっていく。学術研究かどうかはまずはさておく。  


○田中副部会長
   皆でどういう取り組みをしているのかがウェブ上でわかるようにしたいという観点で取り組んでいますが、広報活動について現在の状況を報告していただきます。

○杉山広報委員長
   ウェブサイト上で、各自の研究をアップできるようになっている。 


 ◎小阪部会長
BGMが人の感性に影響を与えているのではないかという仮説をもって臨む。実際に影響を与えたかどうかのデータをとる。データの取り方で単純なのはアンケートをとるということ。

アンケートの取り方は様々あるので、各自ネットで質問を掲載してみてそれらを参考にしていく。ただ、BGMがいいかどうかは聞かない。こう聞くとBGMの調査だとわかってしまう。

これではリザルトの世界のやり方になってしまう。感性に影響を与えるかどうかの実験なので、どう与えたらどう変わるのかの仮説を立てて検証する。

例を示す。新しいお店を作るのに4種類のロゴマークデザインをお客様に聞いてみた。  こういう場合、どれがいいと思うかという聞き方はしない。それでは好き嫌いの結果が出るだけになってしまう。


新しい店のロゴマークは、親切にしてもらえそうな感じがあるか、あったかい安心そうな雰囲気を感じられるかどうかを聞くのである。5段階で聞くやり方もあるが、どの辺なのかを聞くやり方もある。


○田中副部会長
 まず、BGMという方向性で感性工学的なデータをとる方向でいきましょう。

◎小阪部会長
   BGMを活用していない場合は、まず現在の状態を計測して自分の仮説を立てて改善し、その後調査という手順を踏んでいただきたい。皆さんがデータを出し合っていただければ、内容によっては先生方と協力して共同研究しましょうという流れが作れると思う。


○田中副部会長
  この場では事前質問は決めかねるので、どういう質問をすると効果的なのかは各自取り組んでみて、それぞれウェブ上で報告していきましょう。


◎小阪部会長
  何の質問をするかを考える時は、何のためにとるのかをはっきりして臨む。何を改善したいのかという仮説が大事。BGMを変えたら感性が変わるのではないかという漠然とした捉え方では、なんとも言えない。

   例...BGMがかかっていないフロアはストレスが高いのではないか?
     飲食店でBGMがなくなると客単価が下がるのではないか?
     BGMがなくなると歯科治療はつらい人が増えるのではないか?

     そして、今日のBGMはいかがでしたかと聞くのではなくて、治療はつらくなかったですかというような質問を考える。


○杉山広報委員長
  メーリングリストは、今日の参加者に限定する。
  今日の話の内容と何を考えるか、どういう実験をするか、どんな質問をするかをメーリングリストで配信していく。数日間のうちに実施していく。


○黒澤さんより
  メーリングリストの運営も一つの実験になる。共通の目的が今日の部会でシェアできているので、次回の部会までにウェブ上でやり取りして、どれだけのグループダイナミクスができるのかを検証したい。有効であれば整備しながら部会全体に広げていきたい。


○田中副部会長
  取り組みは自由参加なので、取り組むかどうかは自分の判断でお願いします。


◎小阪部会長
  小阪裕司個人として、こういうような研究のデータ取ってくれない?というようなお願いする可能性もあります。



■2.今年9月に開催が決定した感性工学会大会での発表について

  感性価値創造に関する当部会のケーススタディの発表について

◎小阪部会長  
  大会では特別セッションの枠をとろうと思っている。部会活動としてのセッション。

BGMについて深めてもいいし、テーマを出しなおしてもいいし、学会では途上のもので構わない。部会全体で取り組んでいるものが発表できるといい。また、どなたかが取り組んでいることを感性工学的な角度でまとめて、現場のケーススタディとして発表するのもひとつ。いずれかは今後深める過程で決定していく。



■3.感性工学的手法のビジネスへの活用について
   我々が現場でやっていることを他部会の先生とジョイントして感性工学的な手法で分析し、その後のビジネスにいかせるデータを受け取ることは出来ないか?


○柴山さんより
  「携帯電話向け防犯メールマガジン」において文体、文字量、送信頻度、送信時間、読者年齢、性別により好感度が変わるか?変わらないか?を調査したいという提案が出される。

提案理由としては、被害にあうと一番心が傷つくのは女性なので事前に予防して欲しいという観点から。パソコンから携帯電話で情報を仕入れているようになってきた。

いちばん身近なものに情報提供していくのがいい。ということで開始した。

文章の書き方。柔らかい口調 断定口調 女性に受けるかどうか。文字量 送信頻度 送信時間、年齢、性別により計測して好感度がかわるのかどうか。どういう文体だと好感を感じてもらえるのかといった内容。


○田中副部会長
このテーマも皆で研究できるのではないか。携帯だけでなくメルマガという観点で考えれば。


◎小阪部会長
関心事としてはあるでしょう。メルマガ読者にある仮説にもとづいて3つのパターンで配信し、好感度を把握することは大学の先生はできない。メルマガの研究をしている先生はいるけれども。ビジネスはベストと思えることを一個やるわけで、あえてベストでないと思えることをやるのは怖いことです。自分のメーリングリストでやろうとしたら覚悟がいりますね。


○田中副部会長
 こうしたテーマを毎回募ることにしていきましょう。


◎小阪部会長
  テーマがウェブ上で先生方も閲覧できるようになれば、先生方とのジョイントもできやすくなる。



                                             以上

議事録作成者 髙荷一良 

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